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酔ってても帰宅できる「記憶」のメカニズム
■記憶の分類方法

 飲酒した翌日、気がつくと確かに帰宅はしているけれど記憶が飛んでいる。そんな経験をしたことがある人もいるかもしれない。記憶についてはまだまだ不明な点が多いが、しばしば用いる分類がある。記憶の保持できる時間から、短期記憶、長期記憶と分けて、短期記憶と長期記憶の間を中期記憶と3分類している。

 脳をコンピューターになぞらえ、短期記憶はメモリー上にあり、中期記憶や長期記憶はハードディスク上に書き込まれていると考えるとわかりやすいだろう。短期記憶に関しては、判断要素を加えて作動記憶という概念を加える人もいる。酔いが回ってきて、追加して飲むかどうかの判断は作動記憶に基づく。

 短期記憶は、時間的には秒から分の単位とされている。それに対して長期記憶は、何年の単位に及ぶ記憶。故郷を離れて暮らしていて、たまに故郷に帰って郷愁に浸る時は、確実に長期記憶を使っている。

■帰宅して家に入れたのは「手続き記憶」のおかげ

 飲みに行ったことは確かなのに、帰宅途中の記憶は飛んでいる。けれど気がつくと鍵を開けて家に戻っていた。

 この場合、帰宅して鍵を開けるのに使っているのは、記憶のうち長期記憶に基づく道順と動作だ。特に鍵を開ける動作には手続き記憶といって、大脳だけではなくて体の動きを制御する小脳なども関係している。

 鞄から鍵を出す、鍵を開ける、戸を開け鍵を鞄に戻し内側から鍵をかけるという一連の動作が手続きとして記憶されている。飲んだその日だけではなく、二日酔いで寝過ごしてあわてて家を飛び出して、家の鍵をかけたか思い出せないことがあるが、仕事から帰宅すると鍵はかかっていると思う。これが、飲んだ時にはありがたい手続き記憶だ。

 ただし欠点もある。手続き記憶は動作を実行したことをシラフの時にも記憶しないのだ。長期記憶の奥底に眠る手続き記憶は、実行こそすれど、実行したことを記憶しない。だからシラフのときに仕事や学校に行って、家の鍵をかけたかどうか思い出せないのは病的ではないので心配は無用。
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