気まぐれにゅ~す
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女子校出身者は生きづらい?
「あるとき、『女子校出身者は生きづらそう』と知人に指摘されて、ハッとしたことがあります」。

 『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)の冒頭で、著者の辛酸なめ子さんはこう書き出している。実は辛酸さんは「祖母、母、妹、叔母まで、女子校出身の血縁に囲まれて育った」という高純度の女子校育ちである。

 「うちは家が厳しくて、子どもの頃は『大草原の小さな家』が載録されている名作全集や、学研の『ひみつ』シリーズのような学習マンガを読んでいました。あとは遠藤周作の『王妃マリー・アントワネット』。家庭内では性的な情報がシャットアウトされていて、ルイ16世とマリー・アントワネットのラブシーンや街娼のベッドシーンなどは、恋愛についての貴重な情報源でした。一見マジメな文学作品のなかに登場するHなシーンからいろいろと......妄想していました」

 そんな妄想癖を加速させたのが、女子学院での女子校ライフ。中高一貫の女子校では高校受験がない分、存分に妄想を育む時間ができたというのだ。

 「ディープな作品を読んでいた子は多かったですね。それも、共学や男子校出身者が想像しそうなゲーテの詩集や、ロマンティックな小説ばかりではありません。中学で流行っていて読んだのは、『家畜人ヤプー』や夢野久作の『ドグラマグラ』、それにサド公爵の小説などでした」

 ......。いずれ劣らぬ怪作ぞろいだ。そのほか、近代文学を読み耽ったのも女子校時代だという。

 「女子ばかりで過ごした中高の6年間があるからこそ、いまの私があります。文学というジャンルで趣味を広げ、深める期間を得ましたから。同性を敵に回さないような技術は、女子校だからこそ身についたような気もします。『生きづらそう』と思われるかもしれませんが、得たものは大きいですね。ただその代わり、『女子校育ち』は異性との距離感をつかむのがヘタ。女子校出身者に話を聞くと『飲み屋で隣の席に座った人と付き合った』、『バイト先の店長と付き合っている』など異性関係を手近なところで済ませるケースが多い。あと相手の性格もあまり知らないうちに、『イケメンだから』と付き合って失敗する人も多いですね」

 今まで自分たちの身近にいたが、適確な称号を持たなかった彼女たち。その生態を余すことなく描ききった『女子校育ち』は、多くの女子校出身者に待たれていた一冊である。
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